contents
background
3年目の課題
日本航空が取り組むCSR活動「空育®︎」のプログラム「JAL STEAM SCHOOL」は、次世代教育STEAMのメソッドに基づき開発した教材とアプリケーションを使い、JALのパイロットと技術者が講師となって教える体験型プログラムです。参加者アンケートでは常に高い満足度を獲得し、グッドデザイン賞受賞をはじめ社会的な評価を受けてきましたが、実施1回あたりの参加人数が限られることや運営に関わるリソース面で課題を抱えていました。リリースから3年を向かえ、今後この取り組みをどのように社会へ広げていくか、施策の見直しを行いました。
strategy
「質の高い教育をみんなに」
JALグループではSDGsで目標に掲げられている社会課題へ積極的に取り組んでいます。空育®︎もその取り組みの1つであり、SDGsの目標4番「質の高い教育をみんなに」の達成に向けて2020年度までに参加者100万人を目指しています。JAL STEAM SCHOOLは質の高い教育機会を創造できた一方で、その機会を広く社会へ提供する点で課題を抱えていました。学びの機会を増やすことはSDGsの目標4番の達成に繋がると共に、お客さまとのコンタクトポイントを増やすことにもなります。JALらしさと教育の質の高さを維持しながら、いかにして「機会」と「対象者」を拡大するか。JAL STEAM SCHOOLの「ポータブル化」の開発がスタートしました。
execution
対話型プログラムのデジタル化
「JAL STEAM SCHOOL Portable」は、“SCHOOL”で提供している授業内容を「どこでも、誰でも」体験できるようにしたデジタル教材です。講師が担うファシリテーションの役割をアプリケーションが補完し、授業同等の学びを展示コンテンツ上で体験することができます。授業では対象年齢を小学4〜6年生に設定していますが、公共スペースに展示されることから対象を全ての世代に拡大。難易度や所要時間などの最適化を計りながら、子供から大人まで全ての世代が満足のゆくようにUI・UXを設計しました。また、筐体の輸送と設置の簡易化を実現するためにプロトタイピングを重ね、サイズや構造、耐久性を検証した結果、優れたポータブル性を実現。リソースの負担を大幅に減らすことができました。
result
継続と発展
ポータブル化は取り組みの展開に推進力を与えました。各地の施設・イベントへの出展の他、継続的に常設展示を行うスペースも生まれました。リリースから数ヶ月でJAL STEAM SCHOOLの参加総数を大きく上回り、「機会」と「対象者」を拡大することに成功。また、取り組みの発展とデザイン性の高さが評価され、JAL STEAM SCHOOLに続いて2年連続でグッドデザイン賞を受賞しました。CSRは事業に直接の利益をもたらすものではないため、社会的意義が高い取り組みだとしても継続していくことは容易ではありません。必要に応じて見直しを加えながら、事業主と参加者の双方に価値をもたらす中長期的なロードマップを描いて発展させていくことが重要です。
credit
client: 日本航空株式会社
category:ブランディング, SDG’s, 次世代教育, STEAM, CSR
work scope: クリエイティブディレクション,プランニング, プロジェクトマネージメント,ネーミング, コピーライティング
web: https://www.jal.com/ja/csr/soraiku/steamschool/portable/